大丈夫だよ心配するな
大丈夫だよ、心配するな。その二十三 <さようなら> わたしは離婚してから孤独の暮らしになったんです 子どもはいなかったのよ 自分の人生を振り返っても何も残らなかったんです 誰も助けてくれなかったのよ 故里の面影もなくなって淋しかったんです <く…
大丈夫だよ、心配するな。その二十二 「スローな清貧さ」 オレは寝起きに手の平のみで顔を洗った。顔色と舌を確かめた。食事は小食で玄米を中心にした。季節の野菜も添えた。衣服は最小限の見つくろいにした。住まいは粗末な家を借りた。少々の庭もつくった…
大丈夫だよ、心配するな。その二十一 「ほがらか」 なんだかうれしくって、こばしりしていたんですのよ。あまりにもの、すがすがして、さわやかで、こんど、めおとをちかいあったんですのよ。らんらんと、そよそよと、そしてさらさらと、ひかりとかぜがなが…
大丈夫だよ、心配するな。その二十 「流し台の先の金魚池」 井戸水をくみ上げて、流し台で調理や洗い物をしていた。その水の流れは母屋の裏の池にたまり、金魚とメダカなどが泳いでいた。これらが流れた残り物を食べていたのである。ここには無駄のない生活…
大丈夫だよ、心配するな。その十九 「ほがらか」 なんだかうれしくって、こばしりしていたんですのよ。あまりにも、すがすがして、さわやかで、こんど、めおとをちかいあったんですのよ。らんらんと、そよそよと、そしてさらさらと、ひかりとかぜがながれて…
大丈夫だよ、心配するな。その十八 「どうしようもない」 ここまであるいてみたけれど、あのひとをわすれることができませんでした。いちど、ほれてしまったら、むしょうにあゆみよっていったのです。いっしょにくらしたいとおもいました。でも、あのひとが…
大丈夫だよ、心配するな。その十七 「死ぬように流されて」 ・死のことを考えず逝ってしまった ・流れるままのその先に死が待っていた ・死ぬ直前のすばらしい人生の片鱗が残っていた ・即座に逝きたいがなぜか病院ケアが用意されていた ・死んでもなぜか死…
大丈夫だよ、心配するな。その十六 「積みてや」 もはや考えは過ぎ去っても、積み重ねることが大事だ。そこから新しい価値が生まれる。たとえば、物事のつやはそれで、何よりも変えがたい。だから、こつこつと考えることである。そうすると、考えたあとから…
大丈夫だよ、心配するな。その十五 <孤独感> さっさときめてうごかなければならぬ。だが、それができない。きめがたいりゆうがあり、それはおのれのこころをきよめることだった。きよめのしみずがひつようで、そのみずをさがしていた。だが、みつからぬ。…
大丈夫だよ、心配するな。その十四 「ウソツキ」 平助は出回りで職の斡旋をしていた。門前町でも宿場町でも手当たりしだいに口利きをしていた。職が成立すると歩合を受け取った。職の中味が紹介と異なっていた。不満を漏らしても連絡がとれなかった。姿が消…
大丈夫だよ、心配するな。その十三 「やってみたけれど」 洋子さんは夫を交通事故で亡くして悲しんでいましたね。もう落ち込みすぎていて、どうしても心のケアが必要だったのです。でも、家族関係が複雑でしてね、亡き夫は再婚で前の妻が葬儀のときに現れた…
大丈夫だよ、心配するな。その十二 「恋愛かも」 恋をしてしまった。不思議だった。欲情した。歩いてもウキウキした。相手を思案すると眠れなくなった。相手の姿が頭から離れなかった。仕事に身が入らなかった。これは妄想かも。 (ドラフト①) 「未練かも…
大丈夫だよ、心配するな。その十一 「すれ違い」 ・それということもなくすんなりとさらさらとすぎていきましたわ ・やはりとおもいつつもちがってみえてみれんがましくなっていましたわ ・これからはじまるものとかんがえたけれどもかんちがいのながれでし…
大丈夫だよ、心配するな。その十 「あわれなりか」 ・私は庭先の菜の花畑を眺めながらウグイスとホトトギスの鳴き声に心躍ったのよ ・私はふっとした気持ちで散歩しながら人々の笑い声に傾注して幸せを感じたのよ ・私は憧れを求めてさまよいながら山並と河…
大丈夫だよ、心配するな。その九 「慕情なり」 わたしは年上の男性を好きになってしまいました。未練がましいけれど、一方的にそうなったのです。少しの間ですが、ごく自然に肉体関係をもちまして、気づいてみましたら妊娠していました。どうしようもない境…
大丈夫だよ、心配するな。その八 「そこを出ると影が追いてこない」 その男は歩くと影がないことを知っていた。命の流れが薄かった。薄くても必死に生きてきた。生きてみても自分の影がなかった。太陽は輝いた。太陽のその光線が降りそそいでこなかった。人…
大丈夫だよ、心配するな。その七 「錆びる自我」 どことなく関節の曲がりと伸ばしの具合も悪くて寝起きが困難になっても暮らしの明け暮れの雑用に追われて動こうとしたら手と足の順番を間違えて柱の角に頭から倒れていった。 ようやくの思いで晴れてきたか…
大丈夫だよ、心配するな。その六 「いのち拾い」 ここはどこだろうか さけんでも わめいても だれのこえもなかった やみのなかで かくごしてあるきつづけた くらくて さむくて むなしくて たちどまって こころをとじた おとがする かろやかなおとである や…
大丈夫だよ、心配するな。その五 「売られて」 あまりはなしたくないけれど、あのころ、ききんがつづいてたべものもなくなり、そのたべものをまもるためにひとべらしがはじまり、きょうだいがおおいものだから、まず、おんなのこがゆうせんてきにえらばれて…
大丈夫だよ、心配するな。その四 「誕生のとき」 あれは生まれてから三歳のころでしたが、家のつくりは茅葺きの合掌で入り口から裏口まで土間が続いて、土間の上がり端のところに板の間の囲炉裏があって、囲炉裏の細長い煙が眼に浸みて泣きながら祖母の胸元…
大丈夫だよ、心配するな。その三 「貧乏暮らし」 何のこともないのさ、比べたら比べた分だけひもじい思いになってつまらなくて面白くなくて、だからかな、できるだけ外遊びに出かけて世間のことも忘れて駆けずり回っていると腹の減ったことも気にならないか…
大丈夫だよ、心配するな。その二 「あわれな女」 あれあれって感じてみたけれど、よくよく思い返してみたら予想とかけ離れたところの奥におとなしく巣くっていて、これ見よがしに小さな趣きで隠れるように日影の中から呼んでいるようで叫んでいるようで、そ…
大丈夫だよ、心配するな。その一 「脳天気な男」 やっと腰かけた石の欠けらが冷たくてすくっと立ち上がると頭の上からそそぐ陽射しもあり、ひと息入れようとしたら風の勢いも強くなって顔のあたりがかたくなり、すると雲行きがじわじわと怪しくなって暗くな…
はかない自由律-beta01 前記:俳句における自由律は近代化の動きである。従前の形式にとらわれず、自由に表現することに傾注した。代表的な俳人は種田山頭火、尾崎放哉、井上井月、悦山人などがいた。 「歩くと影がない」 「小さく生きてみた」 「そもそも…
文無しの余生 <何も考えず> ・考えても仕方ない状態だ ・考えても何も起こらなくなる状態だ ・考えても誰もが苦しい状態だ <先が見えず> ・見えなくても楽しくなってきた ・見えなくてもその先は十分だった ・見えなくても何故か満足でいられた <死は…
大丈夫の論理 前記:今さら仏教のことを考えてみてもしょうがないが、釈迦がいうような慈悲と慈愛の世界があった。ここには難しい理屈はいらず、いわゆるケセラセラとかレットイッツビーとか、気にするなとか、考えすぎるなとか、もっといえば自燃法爾であ…
ホントのまぼろし-01 <下らないこと> 人の世の中には不思議な価値観があって、それが誤解または理解を招く。 ・下らないなという意味の発生について ・つまり、このアホ、このバカの言いまわしに似ている ・また、このタコ、このイカとも似ている ・ここ…
まったくの世も末-01 私「これから、どうすればいいのかしらね。淋しいのよ」 聖「どうもしなくて、いいんだよ。そのままでいいんだ」 私「でも、この先が見えません。ただただ、歩き続けるしかないのかしら。どこに向かって歩いていいのかもわかりません」…
みんなの幻想体-01 オレはそうすることにした。多分、誰からもわかってもらえぬが、そのほうが満足したのだ。そのほうがオレらしくなった。 「だから、いったじゃない、その不思議」 天からオレに向かって、その声が降りそそいできて、まったくもって驚いた…
93 娘の運動会の季節がやってきた。娘の小学時代の最後の運動会で、記念のリレー競争と組体操がある。オレは少し悩み、でも、笑顔で参加することが義務だと思った。この先が見えないオレにとって、心から楽しめるかどうか……。 94 運動会の当日、オレは娘と…